中日新聞 三重版
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数多くの出会いをつむいできた「駅」。その歴史を知ると、旅はもっと楽しくなる。 三重県の駅にまつわる歴史・文化を探る当企画。第一回は伊勢神宮参詣の拠点、近鉄山田線・鳥羽線宇治山田駅へ。
街のにぎわいを生む華やかなターミナル
 
半径100メートル、通称「善光寺カーブ」

 古くから「商業の町」としてにぎわった四日市市。1473(文明5)年の伊勢神宮の庁宣(命達文)に「四日市庭浦」の記述が見られ、この頃には四日市場が完成されたと考えられる。1601(慶長6)年には東海道五十三次の宿場町に。現在の北町あたりには陣屋も建てられ、北勢地域の中心地として発展していった。
 港を中心に工業化の歩みを進めた明治時代、1890(明治23)年12月に関西鉄道(現在のJR関西線)が四日市駅を開業。それから23年を経た1913(大正2)年5月、当時四日市の中心地であった諏訪神社周辺に、三重軌道(1916年に三重鉄道に移管。現在の近鉄内部・八王子線)が諏訪駅を開設する。同年9月には四日市鉄道(現在の近鉄湯の山線)も諏訪駅を開業し、当駅は四日市市郊外への交通の拠点となった。三重軌道と四日市鉄道はその後、すでに国有化されていた省線四日市駅に乗り入れ。1922(大正11)年3月には伊勢電気鉄道が海山道・新四日市(のち四日市に改称)駅間を開業し、新四日市駅は省線近くに開設された。さらに1929(昭和4)年1月、伊勢電気鉄道は桑名・四日市間を結び、諏訪駅にも接続している。なお、四日市鉄道はその後、三重鉄道と合併。1944(昭和19)年に三重鉄道は三重交通となり、時を経て分離された鉄道事業は1965(昭和40)年に近鉄に譲渡された。
 当時、伊勢電気鉄道は諏訪駅の前後で大きくカーブをしていた。善光寺(四日市市本町)前の半径約100メートルの曲線は「善光寺カーブ」や「五鎖(ごちぇん)カーブ」と呼ばれ、乗客に親しまれていた。その後、参宮急行電鉄が伊勢電気鉄道を合併。1938(昭和13)年になると姉妹会社である関西急行電鉄が桑名・名古屋駅間を開業。名阪間が結ばれると、諏訪駅周辺の急カーブは速度向上や車両大型化の支障となっていった。


駅を現在地に移転、百貨店も開業

 戦時下の鉄道会社再編にともない、1944(昭和19)年6月に近畿日本鉄道が設立。諏訪駅は同名古屋線の駅となった。市民の足として活用されるも、前述のカーブの問題に加え、駅舎の老朽化や規模の面から移設が検討されるように。そして短絡化工事により、1956(昭和31)年9月、諏訪駅は移転され現在の四日市駅ができた。名称を近畿日本四日市駅(1970年に近鉄四日市駅に改称)とした。これにより関西線四日市駅との接続はなくなり、かつての急カーブは姿を消した。そして1959(昭和34)年、伊勢湾台風で大きな被害を受けた名古屋線は、復旧とともに線路を拡幅。同年12月には大阪・名古屋間で新造のビスタカーによる直通特急の運転が開始された。
 新しい近鉄四日市駅の誕生にともない、にぎわいの中心は関西線四日市駅や旧・諏訪駅から、徐々に西へと変わっていく。1957(昭和32)年9月には、現在スターアイランドがある位置に、四日市グランド、四日市シネマと呼ばれた2つの映画館がオープン。さらに1960(昭和35)年6月には、四日市近鉄百貨店(現在の中部近鉄百貨店 四日市店)が開業。洗練された百貨店の誕生で駅前は活況を帯びた。

高架化が促進され近代的な駅に

 1969(昭和44)年に建設省と運輸省の間で「建運協定」が結ばれると、鉄道の高架化が促進。近鉄四日市駅付近も1973(昭和48)年10月に高架に切り替えられ、高架下には商業施設が生まれた。駅の発展に呼応して百貨店も増床を重ね、1992(平成4)年9月に増改築。2007(平成19)年11月には地階から地上2階までを改装している。
 今も昔も、商業の町として発展する四日市市。近鉄四日市駅は、そんな町のアイデンティティを象徴する駅と言えるだろう。人々が集い、そこに文化が生まれる。駅周辺には図書館や博物館などの文化施設も整備された。
 四日市市は本年、市制111周年を迎え、市内各所で記念事業が開催されている。12月20日には「100万人のキャンドルナイトinすわ公園」を予定。ろうそくの炎の下で、コンサートなどが行われる。会場は旧諏訪駅近く。現在は駅舎や線路の痕跡を見ることはできないが、足を運んだ際には旧駅に思いをめぐらせてみて欲しい。
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(写真上)1950(昭和25)年頃の諏訪駅の様子。複数の路線が乗り入れていることが分かる
1956(昭和31)年、諏訪駅から移設された近畿日本四日市駅(右下)。百貨店が建つ現在(左下)とは様子が大きく異なる
線路の短絡により廃止された旧四日市・諏訪駅間の通称「善光寺カーブ」
(写真左)高架になる前の近鉄四日市駅。東西の出口は地下道で結ばれていた (写真右)高架駅となった現在の様子
駅のたのしみ
四日市市立博物館
企画展や常設展で四日市市を紹介。四日市市出身の文化勲章作家、丹羽文雄氏の記念室やプラネタリウム、ミュージアムショップも設置されている。企画展・プラネタリウムの観覧料は有料、常設展は無料。四日市市安島。TEL059-355-2700
1000000人のキャンドルナイトinすわ公園
4111本のろうそくに火を点し、電気を消灯。ろうの入ったカップに願い事を書いて点灯させる企画や、手作りアロマキャンドル教室も。12月20日、諏訪公園と周辺商店街で開催。キャンドルナイト四日市実行委員会 TEL059-350-8411
取材内容は平成20年11月現在のものです。
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